関節リウマチ
関節リウマチとは
関節リウマチは 30~50歳代の女性に多く、発症する免疫システムの異常によって、手や足を中心とした関節に炎症が起こる病気です。関節内に存在する滑膜という組織が異常増殖することによって関節内に慢性の炎症を生じる疾患で、進行すると関節が破壊され様々な機能障害を引き起こします。関節の腫れや痛みに加えて進行すれば、やがて関節の軟骨や骨が破壊されて深刻な機能障害に至ります。特に、関節に発症しやすいので関節リウマチと呼ばれています。また、貧血や微熱、全身倦怠感などの全身症状を合併することもあります。
関節リウマチの原因
リウマチの発症・進行には、喫煙が関与することが明らかになっています。また、感染症や出産、手術、ストレスなどもリウマチの発症に関与するといわれていますが、発症の原因は未だに解明されていませんが、なんらかの原因によって、体の中の免疫に異常が起こり、自己成分を異物と勘違いして攻撃をする病気です。この免疫異常により、手足の指、手首、膝、足首などの複数の関節にまたがって、左右対称に関節の腫れと痛みが起こります。この関節炎の状態が続くと、関節の変形や関節の周りにある骨自体が壊されてしまいます。
関節リウマチは、遺伝しやすいという報告もありますが、リウマチ因子を持つ母から生まれた子がリウマチを発症する可能性は約5%という結果が出ており、通常よりは高い確率であるが遺伝するとまでは言えないとされてます。
関節リウマチの症状
初期症状として、朝起きてから30分以上続く、関節が動かず物を握れないようなこわばりが代表的です。朝に起こりやすいことから「朝のこわばり」と呼ばれます。この症状は、日中や夜には落ち着くのが特徴です。
次に現れる症状としては、関節を動かす時の痛み、圧痛、関節の腫れがあります。関節の腫れは多くの関節を侵し、左右対称に侵されることが多いことです。侵された関節は腫れて、熱があったり、水が溜まったりします。胸骨や背骨には発症しにくいですが、頚椎に発症し、脊椎の損傷をきたすことがあります。関節の痛みは関節を動かすと増大するため、次第に関節を動かさなくなり硬直していきます。さらに進行すると目に見える変化として関節が変形していきます。
症状が進むと軟骨や骨を破壊し、関節が変形したり、骨と骨がくっついて動かなくなる症状もあります。
また、痛みや腫れのある関節の周囲に骨粗しょう症が起こっています。関節リウマチのステロイド剤も骨を弱める働きがあります。
関節リウマチの診断
血液検査
血液中の免疫機能成分である白血球や血小板の増加など炎症所見が見られ、またリウマチの成分を検査します。
画像検査(MRI)
関節のびらんや破壊、軟骨病変や骨髄浮腫の評価を行ないます。
超音波断層検査
骨びらんや滑膜炎を検出するのに用いられます。
関節リウマチの治療
以前までの薬物療法は、リウマチの炎症や痛みを抑える目的で行われていましたが、病気の進行を抑えて関節が破壊されるのを防げる薬が開発されました。関節節リウマチに使われる薬は、「抗リウマチ薬」や「非ステロイド抗炎症薬」「ステロイド薬」です。抗リウマチ薬では、関節リウマチの炎症を抑えます。それでも残る腫れや痛みには、非ステロイド性消炎薬で、痛みを抑えます。強い炎症のピーク期には、ステロイド薬を用いることもあります。
また、リハビリも有用です。運動療法や作業療法を行なうことにより、関節が固まるのを予防し、体の機能回復を目指します。指や手関節など末梢の運動に加えて、大腿や肩、首など大きな関節の運動も行います。
関節に変形が進み、痛みが増強した場合は、手術を行なうこともあります。
リウマチについてはまだ不明な点が多く、原因や治療方法についても確立したものはありませんが、リウマチの関節破壊は発症2年以内が最も進行すると言われており、早期発見、早期治療が重要です。リウマチは免疫異常であり正常に戻すのは非常に困難ですが、薬物治療の進歩により寛解が十分に可能となります。適切に治療を行えば病気の進行を抑えて関節の機能を保ち、今まで通りの生活を続けられる可能性があります。気になる症状がある方は、早めに病院に受診しましょう。