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肺炎

肺炎とは

 日本人の死亡原因の第3位である肺炎は、口や鼻から侵入した細菌が喉から気管支を通って肺で増殖することによって起きます。 肺炎は急性と慢性があり、市中型・院内型と種類があります。市中型とは、通常の社会生活を送っている人に見られる肺炎で、院内型は他疾患で入院後48時間~72時間以降に発症した肺炎のことをいいます。
 高齢者は特に嚥下性肺炎が多く、食物、胃内容物、口腔内の常在菌により生じます。

肺炎の原因

 肺炎の原因となるのは、肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ、肺炎クラミジアなどです。嚥下性肺炎は、嚥下機能の低下した高齢者、脳梗塞後遺症やパーキンソン病などの神経疾患や寝たきりの患者様に多く発生します。食べ物や飲み物、唾液と一緒に肺炎球菌が気管内に入り込むと、肺炎を発症しやすくなります。
 高齢者や寝たきりの患者様では、口腔内の清潔が十分に保たれていないことがあり、肺炎の原因となる細菌がより多く増殖しています。そのため、肺炎球菌や口腔内の常在菌である嫌気性菌が原因となり、肺炎を発症してしまいます。

肺炎の症状

 肺炎は、風邪の症状とよく似ているため気付かないケースが多く、その結果、重症化して亡くなることがあります。はじめは喉の痛みや鼻水、鼻づまり、全身症状として、高熱、悪寒、関節痛、食欲不振があり、咳嗽、喀痰、呼吸困難、胸痛が見られます。高齢者は体力が低下していることから、こうした肺炎の典型的な症状が出ないことがあります。食欲低下、活動性の低下、歩行困難、意識障害などの症状で発症することもあるため注意が必要です。
 風邪の症状でつらい場合は、できるだけ早めに病院を受診しましょう。

肺炎の治療

 肺炎が疑われたときは、胸部レントゲン検査、CT 検査で肺炎の形や性質を調べます。また、 血液や喀痰検査、心電図等を行ない、重症度や腎臓、心臓などの働きを調べます。肺炎の原因となっている菌を特定し、効果のある抗菌剤を選定します。高齢者は脱水を起こしやすいので十分な補液(点滴)を行ない、電解質の補正、カロリーの補給を行ないます。呼吸困難が強い場合や低酸素血症を認めたときは、酸素吸入を行ないます。
 その他様々な症状をやわらげるために、咳をおさえる薬、熱を下げる解熱薬、痰を出しやすくする薬、息苦しさや咳をやわらげる気管支拡張薬などが症状に応じて処方されます。体力・抵抗力を高めるためにも保温して安静にします。
 肺炎は早めに受診して治療を行なえば、怖い病気ではありません。しかし高齢者の場合、特徴的な症状が現れにくいため重症化しやすいです。

肺炎の予防

 高齢者は、肺炎の原因となりやすい肺炎球菌ワクチンの接種ができます。
 肺炎球菌感染症とは、グラム陽性細菌の肺炎レンサ球菌(肺炎球菌)という細菌が感染して起こる病気です。この菌は、日本人高齢者の鼻や喉の約 3~5%に常在しており、咳やくしゃみなどで飛沫感染します。免疫力の低下や体調不良の時に肺炎、敗血症、副鼻腔炎、気管支炎、中耳炎、髄膜炎等、重い合併症を引き起こすことがあります。健康であっても、高齢者が肺炎球菌に感染すると症状や合併症が重くなる傾向があります。そうした人には、ワクチン接種が推奨されます。65 歳以上の高齢者は、定期接種による予防接種を受けましょう。
 肺炎の多くは、風邪やインフルエンザにかかった後に起こります。インフルエンザの予防、うがい手洗いをしっかり行ないましょう。規則正しい生活を心掛け、十分な休養と栄養バランスのとれた食事を心がけて免疫力の低下を予防しましょう。

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